はじめての保育園、25年前のあの日
春が来て、向かいの保育園でも、朝のひと時、泣き声が響き渡る。
初めての保育園。ママやパパと離れたくない小さい幼児達。そりゃそうだよね。今まで、知らない人ばかりのところになんて、来たことないんだからね。泣きたくなるよね。
こういう日は、25年前、再び働き出し、小さい娘を保育園に連れて行った時のこと、今でも鮮やかに思い出す。
初めての保育園、2歳になったばかりの娘は保育園のスモックの中に体全体が入ってしまってるほど小さかった。
1時間半かかる職場のため、最初から二重保育の予定を立てた。近くに住む、主婦の方が夕方お迎えに行って、私が迎えに行くまで預かってくれる手はずになっていた。
当時の保育園のお迎えは6時まで。どんなに急いでも8時前の帰宅。旦那はモーレツ社員。
私には母はおらず、仕方なかった。
娘は、背中に保育園のリュックを背負い、両手に二重保育用の着替えが入った袋を持たされていた。
自転車から降ろし、荷物を持った娘は、少し泣いたように思うが、先生に手を引かれると、諦めたように、前かがみのまま保育所の扉を入って行った。
何故か、一度も振り返らなかった。
私は、扉の中に吸い込まれていく何人もの園児を呆然と見送りながら、立ち尽くしていた。
振り返らなかったからこそ、娘の諦めと、哀しみが胸に迫った。
25年経っても、あの時の娘の後ろ姿を思い出し、後悔と申し訳なさに涙が溢れる。
今もまだ、聞くことができない。
「何故、振り返らなかったの?」と。
新しい春。こころが、涙で詰まっているママやパパが沢山いると思う。
少しでも、こころが軽くなるように、祈ってます。